日本酒の始まりは紀元前300〜200年頃と言われており、約2,000年に渡り、日本の食文化ともに発展してきました。その過程において、貯蔵手法の一つとして「火入れ」が発明され、その火入れ殺菌技術は現代でも重宝されている伝統技術です。21世紀においても一般的に流通している日本酒は火入れしたものが主流です。
「火入れ」技術の発展は日本酒の貯蔵・流通に革命をもたらせましたが、一方で、火入れをしていない日本酒を「生酒(なまざけ」と言います。この生酒はフルーティーな香り、口当たりの柔らかさなどが特徴なのですが、酵素によって風味が変化しやすいデリケートなものです。「火入れ」工程は酵素の働きを止めることによって貯蔵しやすくなる一方、残念ながら生酒本来の味わいは失われてしまいます。南部美人の久慈社長曰く「市場に流通している生酒は蔵で搾りたての美味しさと比較して半分くらいになってしまっている」との事です。ですので、生酒本来の味わいを楽しむためには搾りの時期に蔵に直接行くことが唯一の手段でした。